東日本大震災から5年を数えての祈り

東北の仲間の教会が、今も中心になり、
被災地と関わりつづけている「東日本大震災現地支援委員会」
その会が毎年祈りの言葉を作っています。
今年の祈りです

「日本バプテスト連盟HP」より
http://www.bapren.jp/modules/myalbum3/photo.php?lid=709
花小金井教会では、13日の夕方の礼拝で、この祈りを朗読して祈る予定です。

2016 年 3 月 11 日 東日本大震災から5年を数えての祈り
東日本大震災現地支援委員会
林 健一(鮫バプテスト教会
主なる神様
2011 年 3 月 11 日午後 2 時 46 分に発生した東日本大震災から 5 年の月日が経とうとしています。この間、あなたからのお支えと恵みによって歩みが守られましたことを感謝致します。東日本大震災で亡くなった人は現時点で 15,893 人、届出のあった行方不明の人は 2,565人、震災関連死 3,407 人、現在避難生活を余儀なくされている人が 186,602 人もいます。
主よ、この数字は、地震津波原発事故によって人生が変わってしまい、3・11 から 5年経つ現在も苦境の中にある“一人ひとり”の合計です。震災はまだ続いています。今もなお、被災地で、傷つき、悲しみ、苦闘の中にある人たちと思いを共有する祈りを献げることができますように。思いを同じくするすべての人と心を合わせて、亡くなった人たちを覚え、慰めと希望、新しい勇気と知恵が与えられますよう祈り願います。

主よ、あの震災から 5 年。被災地を訪れる度に風景が変わっていきます。瓦礫も片付けられ、道路や堤防、新しい住居が建てられています。「被災地はもう復興したのですね」との言葉を耳にしますが、実際はまだまだ復興の途上です。2020 年のオリンピックに向かって、強い日本が国中で叫ばれていますが、被災地では「オリンピックどころではない」との言葉もよく聞きます。津波の被災地は、「防災」と「強靭化」の掛け声のもと、超大規模公共工事が進められ、あの震災での出来事が人々の中から過去のものとして葬り去られようとしています。仮設住宅に住んでいる人たちが「私たちのことを忘れないでね」「仮設を出ても、新しい所にまた来てくれますか」と言った、あの切ない顔を、私たちは忘れることができません。主よ、どうか慰めてください。共に寄り添ってください。孤独と苦しみに打ちひしがれている人たちが、あなたの憐れみに支えられて立ち上がることができますように。

主よ、仮設住宅から出て、新たな場所で歩みを始める人たちがいます。しかし、仮設住宅を出てもこれからの生活に希望を持つことができず、不安を覚えている高齢の人たちがいます。どうやって隣人との関係を作っていいのか戸惑っている人たちがいます。また、復興から取り残されている人たちがいます。いつになったら復興住宅の建築が始まるのかまったく見通しが立ちません。仮設住宅での生活が 5 年になろうとしています。仮設住宅で暮らす子どもたちがいます。このままでは、彼らは大人になるまで仮設住宅で生活をしなければなりません。仮設住宅がある中学校のグラウンドで一度も運動することなく 3 年間を過ごした子どもたちもいます。当たり前の生活が送れない人たちがいます。主よ、どうかこの人たちが切り捨てられることなく、忘れ去られてしまうことがないように希望を与え続けてください。

主よ、福島第一原発事故によって、住む場所、生活の場、大切な故郷を奪われた人たちがいます。住む家を追われ、仕事や地域社会や家族生活を失った人の生の声に耳を傾けさせてください。原発事故で放出された大量の放射性物質は、日本全国、世界中を汚染し、人々を被曝させ、特に子どもたちを健康被害の脅威にさらしています。3・11 前と後の故郷はいつもと同じ景色とは違う。「もう元には戻らない」「悔しい」「悲しい」、この現実から私たちが目を背けることがないようにしてください。

さらに、原発事故によって放射能に汚染された廃棄物の最終処分施設の受け入れをめぐっても、様々な混乱が起こっています。また、今も懸命に原発事故の収束のために命がけの作業に当っている人たちがいます。しかし収束の見通しは立っていません。主よ、1 日も早い収束がなされますように、これ以上、被害が拡大しないように祈ります。

主よ、私たちは万物の造り主であるあなたの前にへりくだります。どうか目を上げて、現実をありのままに見る勇気と知恵を私たちにお与えください。あなたの真理に根ざして考え、自分たちの生き方を変えていくことができますよう、私たちを導いてください。私たち一人ひとりが、原子力発電に依存し続けてきた生き方を悔い改め、放射能によってあらゆる被造物を傷つけ続けるという愚かな過ちを二度と繰り返さぬよう導いてください。どうか憐れんでください。

主よ、この 5 年間、私たちはあなたからたくさんの愛と恵みをいただきました。感謝致します。それによって、被災した人たちと共なる私たちの歩みが折れそうになったときも守られ、支えられました。そして、私たち自身の被災した痛みも、あなたによって慰めをいただいています。また、全国の教会、伝道所の人たちの祈りを繋いで私たちの所に届けてくださいました。多くの人たちの祈りと奉仕と献金によって、愛の御業を表わし続けることができました。豊かな出会いの中で、支える人、支えられる人の両者が、かけがえのない関係を築き上げる恵みをいただきました。

主よ、どうぞこれからも私たちの行く道を照らしてください。まだ復興は先にありますが、十字架と復活の主イエス・キリストにある慰めの御業が起こされますように。主の真実が現されますように。一人ひとりの命が祝福で満たされ、一つひとつの町や共同体があなたの御心にふさわしく復興されますように祈り願います。

イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。