問題解決と祈り

「祈ったところで現実は少しも変わらないではないか、それよりは具体的行動を起こすことこそ祈りではないか、とよく批判されます。
しかし、これは祈りに対する誤解であります。
祈りは問題解決の手段ではなく、問題の渦中で自分が失われないように自分を守ることなのです。
具体的に効果があるか否かという観点だけで現実の諸問題に直線的に対応していると、
人は平板に拡散していくものです。
この拡散に抗して、人間として自分を守る凝縮作用が祈りであります。
祈りは問題解決の手段ではなく、実はその前提であるのです。」
藤木正三 「灰色の断層」P.107