終末論と平和

パレスチナ自治区ガザ南部ラファ――イスラエル軍が先に大規模侵攻したガザ南部のラファにある動物園が兵士の破壊行為で大きな被害を受け、動物の多くが殺されるか、逃げ回っていることが27日までに分かった。AP通信が伝えた。動物園のムハンマド・ジャマ園長は、イスラエル軍の計画的な破壊と憤っている。」(引用CNN.co.jp)
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200405270023.html


 ガサでのイスラエルによる武力行使は、一般市民のデモにミサイルを撃ち込んだり、動物園を破壊したり、一般の人々を巻き込んで、それはひどいものです。こういう状況を見て、なぜアメリカは、イラクには厳しいのに、イスラエルには甘いのかと素朴に思います。確かにユダヤロビイストの存在があるでしょうけれども、それは民主党の支持団体であって、共和党はそうでもないはず。しかし、ブッシュ政権になって、ネオコンを通じて、共和党政権とユダヤ系の強硬派グループがつながって、そちらの関係でイスラエルに甘いとも考えられますが、もう一方で、共和党を支える多くのキリスト教会のもっている終末論が大きな影響を与えているようにも思うわけです。

この本はそのあたりのことをよく説明しています。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022594861


 聖書をそのまま信じるから、このような終末論(いつかイスラエルの神殿が復興して、やがてハルマゲドン、最終戦争が起こり、新天新地がやってくる)になるのではなく、聖書を曲げて解釈しているから、このような終末論になると思います。宗教改革者を始め、聖書を信じるクリスチャンたちは、ほとんどの時代において、福音書にある小黙示の内容がAD70年のエルサレム崩壊のことをいっていると考えていて、それがいわばキリスト教のスタンダードな解釈だったものが、150年くらい前の時代に「いや、これは私たちの時代に起こるのだ」などと言い出した人々によって、今につながるおかしな終末論の状態になったと理解します。

 どうせ滅びてしまうと思うなら、いや滅ぼさなければ、次のステージがやってこないと思ったら人間なんだって出来てしまうことは、オーム真理教を見れば分かりますし、原理的には、その危険性は破壊的終末論をもつすべての信仰にあるわけです。

 「現代はテロもあるし、戦争もあちこちであるし、もう世の終わりが近いのではないか」なんて感じるなら、タイムマシンにでも乗って、500年前の戦国時代でも、600年前のヨーロッパの100年戦争の時代にでもいってみてほしいですね。そうしたら、きっと、なんて現代は平和で守られた時代なのだと感じるのではないでしょうかね。近視眼的につらつらと新聞記事を並べたてて、世の終わりだなんて、安易に言わないでほしいものです。

 AD70年の出来事を、未来に設定しなおす非聖書的な解釈から解放され、聖書が本来語っていた、神の国は広がっていくのだという希望を抱きつつ、善を行う信仰を教会が回復していくなら、神様が望んでいたはずの平和が、この地にもっと広がっていくのではないかと思うのです。