「平和への近道」

shuichifujii2006-05-29


 バプテスト連盟が発行している「バプテスト誌」の8月号に載る予定の証です。平和というテーマで、何人かの証を載せるそうですが、私は自衛隊出身なので、何か書くようにと白羽の矢があたりました。それにしても600文字という制限は厳しいね。


 私が陸上自衛隊に勤務していた頃、初めて教会を訪ねた日のことを思い出します。教会の門をくぐった私は、大きな不安を感じていました。なぜなら、クリスチャンという人々は、自衛官の私を見下したり、差別したりしないかと恐れたのです。幸い、その教会では誰一人、私の職業を聞いて態度を変えるような人はいませんでした。思想信条を超えて、一人の人間として受け入れられる中、私はキリストを信じ、バプテスマを受けました。そして、キリストの言葉に従っていくことを願うようになってから、あらためて自分の仕事について悩むようになります。当初は私は「正戦論」者で、犯罪者から市民を守るために警察が武器を持つように、国を守るための戦いも、そのための武装も正当と考えていました。ところが「剣をもつものは剣によって滅びる」といわれたキリストの言葉がいつも心に刺さるようになり、やがて「非戦論」に考えが変わり、自衛隊を退職していきます。しかしそこに至るまで、何年間も魂の中で、神様との格闘がありました。人がその生き方を変えるということは、容易なことではないのです。思想信条をぶつけてみても、互いに頑なになるだけでしょう。神の生きた言葉こそが、人をその根底から造り変え、平和を造り出す者にしてくださると信じます。遠回りのようでも、十字架と復活の福音を宣べ伝え続けることが、結局は、平和への近道であると私は確信しているのです。