2月11日

2月11日は、わたしたちの仲間のバプテスト教会は「信教の自由を守る日」として覚えています。

「総理大臣が、自分の国のために戦って死んだ人を靖国神社にお参りすることが、なんでいけないの?」って素朴に思う人にこそ、その危うさを知っていただきたいものです。

以下に、バプテスト連盟が出した声明を、転載します。

日本バプテスト連盟理事会
理事長 奥村 敏夫

安倍晋三内閣総理大臣靖国神社参拝に強く抗議する

私たち日本バプテスト連盟は、貴職が内閣総理大臣であった 2006 年 11 月、キリスト教信仰、バプテストの伝統、日本国憲法に基づく理由から、「安倍晋三首相が靖国神社に参拝しないことを求めます」とした総会決議による要請をしていました。しかし、第一次内閣では外交的配慮等から参拝を見送っていたこと、また第二次内閣でも参拝できないことを「痛恨の極み」とし、自身の信念というその理由だけで本年 12 月 26 日に靖国神社参拝を強行しました。これは私たちの要請だけでなく国内外の反対の声を全く無視した行為であり、私たちは安倍首相の靖国神社参拝に強い憤りをもって抗議します。

内閣総理大臣としての靖国神社参拝は、改めて言うまでもなく、憲法第 20 条「信教の自由・政教分離原則」、憲法第 89 条「政教分離」さらには第 99 条「憲法尊重擁護義務」を明らかに侵す行為で、基本的人権を著しく侵す行為です。また、かつて中曽根康弘首相、小泉純一郎首相の靖国神社参拝の違憲訴訟では、地裁、高裁で「違憲」判決が確定しており、このたびの安倍首相の靖国神社参拝は司法の判断をも無視する行為であり、私たちは到底認めることはできません。

安倍首相は、第一次内閣で教育基本法を改悪し、第二次内閣では、経済再生とともに、戦争ができる憲法草案をもとに「憲法改正(改悪)」を選挙公約として登場し、「積極的平和主義」の名のもとに、国家安全保障会議の創設、特定秘密保護法の強行、さらには集団的自衛権行使の容認、武器輸出三原則の緩和、沖縄米軍基地の固定化など、平和憲法をないがしろにした戦争体制作りにまい進しています。

靖国神社は、かつての天皇制国家体制下で、天皇の軍隊である陸海軍省が管轄する軍事的宗教施設として、日本のアジア侵略・軍国主義の精神的支柱という役割を果たしてきました。戦後、一宗教法人となりましたがその性格は受け継がれており、戦没者を「英霊」として顕彰し、靖国神社アジア諸国に対する侵略戦争の歴史を肯定・美化しています。そのような性格をもった靖国神社への安倍首相の参拝は、単なる個人の信念の問題ではなく、靖国神社が持っている歴史観・性格を肯定することであり、侵略戦争の歴史を反省し、アジア諸国だけでなく世界に対する約束である「平和憲法」を変えようとする明確な意思表示だと言えます。それはまた、安倍首相の悲願である戦争体制作りのための「憲法改正」に向けた一連の行動でもあり、「平和を愛する諸国民の公正と信義」(憲法前文)に対する挑戦として、私たちは強い危機感を抱かざるをえません。

私たち日本のバプテスト教会はかつて、十字架と復活のイエス・キリストこそ教会と世界の主であるという信仰告白において誤りを犯し、天皇制国家とその侵略戦争に加担する過ちを犯しました。私たち日本バプテスト連盟はその歩みを深く悔い改め、「靖国神社問題に対する日本バプテスト連盟の立場」(1982年8月)、「戦争責任に関する信仰宣言」(1988年8月)、「平和に関する信仰的宣言(平和
宣言)」(2002年11月)を明らかにしました。また、「戦争はしない、戦争はしてはならない。それが、主イエス・キリストに従う私たちの道です」との告白を共に分かち合い、「憲法改悪を許さない私たちの決意表明」(2013年11月)を明らかにし、和解の主であるイエス・キリストに従い、隣人に仕え、武力によらない平和実現を祈り、連携し、行動しています。信教の自由・政教分離原則を重要な信仰的主張としてきたバプテストとして私たちは、それゆえ安倍首相の靖国神社参拝に強く抗議します。