こころではなく霊

精神科医斉藤環先生の「心理学化する社会」は良いです。昨今の、なんでもかんでも心の事柄にしてしまう流れに警鐘をならしてくださっています。近頃はもっとたちが悪くなって、なんでも脳の事柄に還元するとんでも学説(たとえば「ゲーム脳」のたぐい)がでてきましたが、それについても辛辣な批判をしてくださっていて、嬉しい限りです。

 ちなみにカウンセリングや心理学に「ドップリ」と影響されているクリスチャンの方にも一読をお奨めしたいです。

 精神科医でありながら、この発言はとても正直だなーと思います。
「そもそも精神医学に、内科や外科並みの信頼性を期待すること自体が間違っているのである。・・中略・・最終的には、臨床家の職業的カンとしか言い様のないものが頼りなのである・・・・だからどうか記憶してほしい。精神医学とはその程度のものでしかないということを。」P.139

 つまり、心の専門家ぶる人ほど危なく怪しい、ということではないでしょうか。一歩間違えば、人の心を直接操れるわけですから、呪術と紙一重かも。

 聖書は、人間は神の息、神の霊が吹き入れられたとあるように、肉体と心だけでなく、人間は、聖書の御言葉に応答し、神に祈ることのできる「霊」的な部分をもつと教えています。

 牧師はそういう意味で、直接人のこころにではなく、御言葉と祈りによって、人間の「霊」に関わっているのだということを忘れてはならないと思います。そこを忘れ、カウンセリングとか心理学を巧みに用いて人のこころに直接関る、コントロールしようとすると、カルトの教祖と同じことになりますから。