聖書の奇跡と超能力

社会学者の橋爪大三郎氏はこういいます。
「イエスは病人を治し、死者を蘇らせ、水の上を歩くなど、かずかずの奇跡を起こしました。奇跡はよく、オカルトや超能力と混同されます。しかし奇跡は、預言者が神の権威を背景にしていることを証明するためのもので、むしろ、超能力やオカルト現象があり得ない(自然は厳格に自然法則に従う)ことを前提とする考え方なのです。
奇跡は自然現象でないことが起こることで、神の権威を持っていることの証明です。普通、奇跡は非合理主義だと考えられるが、そうではない。自然現象はすべて合理的に起こるはずだと考えるからこそ、はじめて奇跡が意味を持つ。単なるオカルトとか超常現象に対する信仰ではないのです。キリスト教徒は一般にオカルトや超常現象に対して批判的で、星占いや血液型占いも本当は禁止です。」(世界がわかる宗教社会学入門 P.60)

 クリスチャンではない橋爪氏ですが、キリスト教の奇跡対して正しい理解しておられると思います。かえって、有名なキリスト教神学者と言われるような人の中に、聖書の奇跡と超能力やオカルトとを混同してしまって、キリストは水の上を歩かなかったのだ、といっているような人がいて、困ったものだと思います。