イラクで活動しているNGO代表のケンジョセフさんが、今、日本に一時帰国していて、インターネットのニュース番組に出演いたしました。そこで、日本人のイラク情勢にに対する認識に驚きを表明するとともに、日本のメディアのイラク報道に対して厳しく批判しています。
たとえば、日本の報道ではサマワはイラクの中でも治安が安定している町だとされていましたが、実際はサマワというところは、イラクの中央政府が働いていない危険極まりないところで、外国のテロリストが入り込む国境にも近く、彼の知り合いのイラク人だれもが行きたがらないところだそうです。しかも、日本の自衛隊がきてテロの対象にもなってしまってさらに危険な場所となってしまったわけです。
人道支援ということについても、報道ではサマワでは水が出なくてさも困っているような情報が流れていますが、実際は、水が出ないところを探すほうが大変だそうです。そもそも水は電気とワンセットで考えなければならないインフラであって、一つの町だけどうにかしても仕方ない問題だということも認識されていませんし、報道もされません。
サマワ市民が自衛隊を歓迎しているというのも作り話のようで、金をつかまされて(日本から?)、さも歓迎しているように言わされていたり、脅されているようです。そういうことも、ちょっと現地の人を取材すればわかることであって、ケンジョセフは、現地の記者たちにそう言ったそうですけれども、「それは僕たちには書けない」といわれたそうです。
そういうわけで、私たちは明らかに、大手メディアによって意図的に作り上げられたイラク派遣のイメージに乗せられてしまっているのかもしれません。
もし、まだ自衛隊派遣当初、世論が派遣に対して反対の声が高かった時期に、自衛隊員に何か不幸が起こったなら、派遣した政府に批判が集中したでしょう。しかし、その後のメディアの情報によって、今、派遣に賛成の人が圧倒的に増えてしまったわけであります。もし、この世論の情況の下、イラクの自衛隊員に何か不幸が起これば、政府に対する批判は封じ込められ、一挙に憲法改正論議に拍車がかけられるでしょう。実際、国民投票をしなければ変えることのできない憲法を変えるためには、世論が改憲に向かって吹き上がっていく情況を作り出さなければなりません。もしそのために、若い自衛隊員の命を犠牲にしようとしているとするなら、断じて、赦されないことです。
戦前、日本の戦争の方向に導いていったのが新聞などのメディアであったことを忘れてはなりません。
正しい情報こそが正しい判断を形成します。
下記のビデオニュースドットコムにおいて、ご自身で確認していただけたら幸いです。(ただし有料です)