守るべき民主主義とは?

朝日新聞の社説より

 思想や信条にかかわりなく、国民を分け隔てなく守る。それは近代国家の基本的な役割だ。有事法制も当然そうでなければならない。守るべきは国の主権や国民の生命、財産だけではない。少数意見が大切にされる民主主義の社会を守ることができるかどうかが重要なのだ。

 政治をきちんと監視する。国の安全を任せられる議員を国会に送る。異論を大事にする。そうやって日頃から民主主義を鍛えておくことが、いざという時、有事法制をお上ではなく国民のために使うことにつながる。できあがった法制を前に思うべきはそのことだろう。

「民主主義を守る」という主張の前提には、民主主義政治が機能しているという評価があるのでしょうね。しかし、それはどうでしょうか?。機能的には民主主義的な仕組みや制度があったとしても、実質的には崩壊しているのではないでしょうか?。最近では、年金法案における強行採決、また憲法の際限ない拡大解釈による多国籍軍参加への表明など、政府の独走は目に余るものがあります。どこに民意が反映されているでしょうか?。そしてその背景で、政治が官僚によって支配されていることはよく知られた話です。国民による選挙によって選ばれた政治家たちはちっとも法案を作らず、官僚の作った法案を、ただ次から次へと通すだけの政治。実質官僚支配のこの日本に、守るべき民主主義が存在すると思うのは幻想ではないでしょうか。まずもってこの現実を、直視することから始めるべきだと思います。