「ユダの福音書」って・・・

 米国の科学教育団体「ナショナルジオグラフィック協会」という団体が、1700年前の「ユダの福音書」の写本を解読し、そこに、弟子のユダがローマの官憲にイエスさまを引き渡したのは、イエスさまの言いつけに従ったからとの内容が記されていたと発表したそうです。
 解読したロドルフ・カッセル元ジュネーブ大学教授(文献学)が「真実ならば、ユダの行為は裏切りでないことになる」と語り、内容や解釈について世界的に大きな論争を巻き起こしそうだと報道されていました。

 うーん。この程度のことが、論争など生み出すわけがないですよ。そもそも「ユダの福音書」なるものは当時からして異端文書なのだから、そこになにが書かれていようが、聖書の正典の内容や解釈になにか影響があることはありえない。正直言ってこんなものトリビアレベルのお話です

 え、でも「ユダの福音書」も正典にしてしまえばいいじゃないかって?

 そうはいきませんね。かつて、教会会議によって聖書の正典の範囲が定められたのは、教会会議に正典を決める権威があったからではなく、当時の教会が聖霊の導きのもとに、正典である聖書が既に備えていた権威を認識し,公に同意したのです。聖書の内的権威を教会が承認したに過ぎません。人間が勝手に正典をきめたのではないのです。新約正典の権威は、正典を生み出し、教会を導いてきた聖霊の働きによるのです。