新しいのちのために

 中絶に反対の立場から、何度か書きました。でも、じゃあ法律で規制すればいいではないか、というような単純な話でもないだろうと思っています。中絶をする動機を突き詰めて言えば、「育てられないから」でしょう。ゆえに、生まれてきた子供が育っていける環境を担保しないまま、単に中絶を規制してみても根本的な解決にはならず、下手をすれば、生まれてきてから虐待して殺してしまうような、もっとひどいことになりかねません。中絶問題の本質は、中絶のむごたらしさを越えて、生まれてくる子供が育っていける環境を確保できないことにあると思います。その環境を確保するためには、親になる二人の協力関係の確保、そして経済的、社会的な状況が整えられること、そして、自分のしたいことよりも、新しいいのちを優先するつまり自分の選択権よりも子どもの生存権を優先させうる人格的成熟というものが、大切なのだろうと思います。