健康と病気の境目

 健康と病気の境目などないような気がする。
100パーセント健康な人はいないはず。白と黒の間には無限の灰色のグラデイーションがあるように、健康と病気の間にもグラディーションがあるでしょう。

 厳しく検査をすればだれでも悪いところは出てくるに違いない。それが生活習慣を改善するきっかけになるならよし。でも、自分の生活は変えずに、薬に頼って直そうとすると、その薬のおかげで、病まなくても良かったところまで病むことになるかもしれない。薬はあくまで対処療法であり、基本的に体にとって負担となるものだから。

 とはいっても対処療法のおかげで、楽になることは間違いないので、辛かったら薬を用いるべき。しかし願わくば薬から抜けられなくならないようにしたい。

 健康に見える人も、みんなどこか弱いところ、病んでいるところを抱えて生きているわけだから、その健康と病のグラディーションの間で、なるべく健康に近づくように、食べるものに気をつけ、体を動かし、心の平安を大切にするように、生活を変え、自分自身の中に与えられている治癒力を高めていくことのほうが、大切なこと。その上の対処療法。

 ただ、100パーセント健康でなければならないと願い、自分の中にある弱さ、病を撲滅すべき敵として恐れて戦うなら、かえって深い傷を負う気もする。たとえ戦い一時的に勝ったように見えても、人間は必ず最後は死ぬことを思えば、病との戦いは敗北100%。ならば戦うよりも、そのような弱さ、病とも、なんとかうまく共存して、死ぬまで活き活きと生き延びるのも道。そして死の向こう側の希望を信じる人にとっては、死は敗北ではなく、全てが癒され、新しくされて復活する勝利への通り道。

ゆえに、健康と病気の境目などなく、弱さも病もひっくるめて神様に愛されたわたしたちは、今すでに、神さまの愛の御手のなかにあるから、大丈夫なのです。