「人間が作り上げる国家は、世界中に広がるその広がり、それぞれの場所で見られる相違の深さにもかかわらず、明らかに単一の共同体である。共通の本質を持つ生き物という絆が全人類を一つに結んでいる。にもかかわらず、この共同体に属する一人一人は自らの欲望に駆られ、そのぞれが自分なりの目的を追求している。しかし残念なことに、この追求によって得られるものが人類全体はおろか、誰か一人でも完全に幸せにすることなど決してあり得ない。
なぜなら絶対者なる神以外、何ものも人間に本質的な充足をあたえることはできないからである。
その結果、人間の国家には絶えず内紛がつきまとうのである。」
そこで起こっていることも、本質的には欲望の充足願望であり、むさぼり。
土地が、資源が手に入れば幸せになれるという物質至上主義的な生き方。
しかし、アウグスティヌスがいうように、
「絶対者なる神以外、何ものも人間に本質的な充足を与えることはできない」
のであるなら、求めるべきものの方向を変えていかなければ。
いくら他人のものをむさぼってみても、決して幸いになどなれないのだから。
「あなたは隣人の家をむさぼってはならない。隣人の妻、しもべ、はしため、牛、ろば、またすべて隣人のものをむさぼってはならない」(出エジプト記20章17節)