進化が事実なら、種と種の間になだらかな変遷があることを証明しなければなりませんが、現在までの実験では、種とは容易には変わらないことが明らかになっているそうです。
以下、動物行動学者で京都大学名誉教授の日高敏隆氏の見解です。
「種のプログラムがいかに確固たるものであるかは、実験形態学や実験発生学の研究によってますます明らかになってきた。…ニワトリならニワトリとして、雄ならどのような形になる、雌ならどのような形になるということが、前もって厳密にプログラムされている。ホルモンはこのプログラムの進行にどうしても必要なものであるが、プログラムそのものを変更することは決してできない。…実験形態学の進歩は、このような例をいくつも明らかにした。変えることを目指した実験形態学は、動物が変わらないことを示す結果になったのである。…こうした事例をみてくると、われわれは二十世紀前半の、つまりこれまでの生物学がわれわれに与えてきた印象とはまったく反対に、種とは変わらないものだという感じを強く受ける。種は進歩、発展を求めて次々と変化していくものであると、生物学では進化ばかりが強調されがちだが、それはむしろまちがっていたようだ。われわれは種の不変性にこそ注目すべきだったのだ。」(『動物の生きる条件』118〜124ページ。玉川大学出版部)
ちなみに、こんなご本も
動物という文化 (日?敏隆選集 IV) (日高敏隆選集 4)
- 作者: 日高敏隆
- 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日: 2008/03/20
- メディア: 単行本
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内容(「BOOK」データベースより)
霊長類は一等進化した動物だという。それならサルはトカゲより優れているのか。そのトカゲだが背骨のあるぶんミミズよりマシか。ヒトを頂点とし以下最下等の原生動物まで優劣の基準で序列化する近代主義の動物観に著者は疑いをもつ。「下等」動物たちがなぜ淘汰されずに何万年も悠々と生きているのか。動物たちの体の仕組みの多様さと環境適応の巧妙さを例示しながら、科学的にかつ興味ぶかく動物界の全体像をえがく最良の入門書。