いわし雲

shuichifujii2004-11-24

 道を歩いていて、ふと上を見上げると、見事ないわし雲。西日を浴びて、一つ一つの雲が、黄金色に美しく輝いていました。単純に、神の作られたものは美しいと感じます。人は「神の美しさ」を、その非造物のなかに感じ取るのでしょうか。
 神の創造された自然の美しさ。それは、時代や文化をこえて共有できる美しさ。そして、人が作り出す芸術作品もまた、あるものは時代や文化を越えてその美しさを共有できます。信仰的にいうならば、人の作ったもののなかに、「神の美しさ」が表現されていればいるほど、多様な人間が共有しうる美しさを備えていると言えると思います。
 とするなら反対に、現代のように、個人の好みに合うよう、たとえば、音楽などのジャンルわけの細分化が進み、「人がどう思おうが、自分がいいと思うならいい」という、他人と美しさを共感しようとしない文化傾向は、文化的には発展ではなく退行ではないかと思います。
 自分の好みを中心に形成される文化には、万人が美しいと感じる美しさがないゆえにすぐに廃れていきますが、反対に、非常に息の長い、たとえばバッハの作品などには、万人が美しいと感じるような、「神の美しさ」が表現されているのではないかと、そんなことを、いわし雲を見上げながら思いました。