葛藤というブレーキ

すでに自衛隊という軍事力があるのだから、
憲法9条を実態に合わせて、自衛のための軍隊を規定したら、
という意見もあるでしょう。
9条のような理想主義では、結局現実には、解釈、解釈で骨抜きになり、
暴走を食い止められないじゃないかと。
ごもっともです。
でも、9条とは、わたしたちはこういう国でありたい、という宣言だとしたら、どうでしょう。
この理想をすてて、現状に合わせましょう、ということをしたなら、
たしかに葛藤も矛盾もなくなりますが、
同時に、自分たちのあり方を問うてくれる、大切なものをうしなうことになるわけです。
ほんとうにそれでいいのか、と、問いつづけてくれる理想を失い、
葛藤というブレーキが効かなくなってしまうほうが、
むしろさらなる暴走へと道を開くんじゃないでしょうか。