かわらない力

あまちゃん」ももうすぐ終わっちゃうけど、「あまちゃん」ってヒロインのあきちゃんの成長物語じゃないんだよね。あきちゃんはかわらないままで、周りの人たちのほうが変わっていっているから。

 たとえば、あきの母の「春子」とその母の「夏」の間の、「おかえり」「ただいま」さえ言えなかった親子関係が、あきが間に入るなかで、癒されていくことになったし、「春子」と「太巻」、「鈴鹿」の、当事者同士では修復不可能な人間関係が、あきちゃんが間にはいるなかで癒されて、繋がっていくし。

 かつてなんらかの人間関係で傷ついて、素直になれなくなっていた周りの人々が、まるで赤ちゃんを抱っこした人が、みんな素直な笑顔になるように、「あまちゃん」なあきとの出会いの中で、素直な笑顔を見せる自分自身を取り戻し、そんなお互いが繋がっていく姿に、感動するんだよね。

 弱い赤ちゃんには、人を素直な笑顔にして、互いに繋げる力があるように、「あまちゃん」のまま、かわらないでいてくれる、あきちゃんだからこそ、まっすぐな彼女にふれる周りの人々が、かわっていけるし、互いに繋がっていけるんだよね。

 だから、いつまでも「あまちゃん」でいいし、そんな人を繋げる「あまちゃん」な存在が、私たちの周りにも必要なんだよね。