大きいことはいいことだ?

「今の大学病院は、一言でいうと不要です。なぜなら日本の大学病院は、医学部付属病院だからです。医療を、患者を中心としたたものととらえるならば、いくらなんでも医学部付属病院はないだろうと僕は思いますし、学生のころからずっと違和感を思っていました。
 現に、ぼくの出身大学の大学病院のロビーにも「当院は個々の治療よりも医学教育と医学研究を優先します」という意味の文言が掲げてありました。それを毎日目にしながら、絶対にこの大学病院は発想がおかしいと思っていました。病院は患者さんを治すことが最優先です。その優先順位を下げた段階で、病院としての資格がないと僕は思っています。しがたって、医学部付属病院などはもってのほかです。
 もちろん、医学研究は大切です。それは否定しません。だとしたら、患者さんに頭を下げて教えを請うべきです。それがまっとうな考えではないでしょうか。つまり最初に病院ありきなのです。そして付属して医学部があるべきなのです。●●病院付属××医学部というのが、自然な形だと思うのですが、いかがでしょうか。

 皆さんに言いたかったのは、大学病院志向は少し危ないですよ、ということです。多くの国民は大病院、大学病院、そしてがんセンター志向です。その気持ちはよくわかりますが、その危うさを少し指摘しておかなければと思いました。

「9割の病気は自分で治せる」より
医学博士 岡本裕