「ホリエモンの課題」(11月10日週報巻頭言)

 かつて「ライブドア」の社長として一世を風靡し、ホリエモンと呼ばれた堀江貴文さんが、証券取引法違反容疑で収監後、仮釈放になり書いた自伝「ゼロ」を読みました。
 彼が田舎の平凡な家族で育ちながら、東大に入学していった背景や、常に立ち止まらず歩みつづけた背景に、平凡なサラリーマン人生を生きた父親のようになりたくない、という思いを私は感じとりました。それは彼の言葉でいうなら、「思考停止したおじさん」になりたくないということです。
 ところが、著書の最後の方で、実は堀江さんが、自分の死を考えることを恐れていると語り、死を考える暇を与えないために、働き続けることを欲しているというのです。
 つまり、思考停止したくないけれども、死の問題を考えることも避けたい。それで彼は、ひと時もたちどまることなく、働き続けるのだ、と結論します。

 さて、今の時を大切に生きていく姿勢には、二つあると思います。

 一つは、死を恐れる動機、生きる時間の短さを思うから、今という時を大切に考え没頭する生き方です。

 そしてもう一つは、死の向こうにも続いていく希望があることを知っているので、そこに続く今を受け入れ、大切に生きようと願う生き方。

 同じく今を大切に生きようとする姿勢ですが、前者は切迫感からであり、後者は安心感と感謝が動機です。
しかし、人間、いつかは病気になり、働くことができなります。その時、切迫感では乗り越えられないでしょう。
 どのような状況でも、思うようにならない時も、神さまに存在させられ、知られ、生かされている。これこそが、今を精いっぱい生きる力の源なのです。

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