「共感と平和」(11日週報巻頭言)

shuichifujii2013-08-10

 8月、日本の教会は、この地が「平和」であることを願い、祈ります。

 先週は広島、長崎に原爆が投下されて68年目の日を覚える日を迎えました。悲しみの出来事を風化させず覚え続ける。それは同じ過ちを繰り返さないために必要な営みです。

 人には、他者の苦しみを自分のことのように感じる心。「共感」する能力があります。これは「平和」のために必要な心の働きです。

 それはたとえ敵対する人さえも、愛する人がいて、家族があり、友人がいることに気付く能力でもあります。
 その人も自分と同じ人間であり、自分が感じる悲しみや苦しみを、同じように感じる一人の弱い人であることに気付く感性です。

 日本人とか韓国人とか中国人とか、そういう枠組みではなく、一人の人として、人の痛み、悲しみ、苦しみを感じる人なのだと思い計る心の能力です。

 「かわいそう」
 「どんなにつらいことか」
 他者の苦しみに「共感」できる感性こそが、互いのあいだに「平和」をつくりだしていく力なのです。

 「共感」は国籍、文化、年齢、立場の違いを乗り越え「仲間」となるための賜物です。全ての人は、愛を必要とする無力な赤ちゃんとして、神さまによってこの世に存在させられ、愛される喜び、愛されなかった悲しみを体験して育つ意味において、仲間なのです。

 愛を求めるゆえに喜びと悲しみを味わいながら、この世界を生きているゆえに、立場を超えてわたしたちは「共感」しあえるはずなのです。

 全ての人は天の父に愛され存在した神の子。なのに、神の愛を信じられずに恐れ、恐れるゆえに自分や自国を守るためにと、相手を責めて関係をこわし、平和を破壊します。

 ゆえにキリストを通して神の愛を受け入れることが、平和への一歩。神の愛を知ったものは、愛を求めて恐れと不安の叫びを上げる心に「共感」し、恐れを取り去る神の愛を伝えないではいられず、結果的に平和への道が築かれていきます。

 神の愛を信じて生きる神の子を、イエスさまは、「平和を実現する人」と宣言するのです。それは、まさに福音を知ったあなたのことなのです。

新約聖書5章9節
「平和を実現する人々は、幸いである、/その人たちは神の子と呼ばれる。」