教理問答シリーズ4

 キリスト教会は、その歴史の中でいくつかの教理問答を作ってきました。キリスト教信仰の理解のために、このようなものを活用することは有益なので、数ある教理問答の中から、「ハイデルベルグ信仰問答」の内容を少しずつご紹介しています。


問い9

 神は、ご自分の律法で
 人間が成し遂げることのできないことを
 要求することによって、
 人間に
 不公平なことをしているのでは
 ないでしょうか。



答え

 いいえ、そうではありません。
  というのは、
  神は、
  律法を守ることができるように
  人間を造ったからです。
  しかし、人間は、
  悪魔に試みられて、
  図にのった不従順によって、
  神の賜物を
  自分自身と自分のすべての子孫から
  取り去ったのです。


問い10
 神は、
   そのような不従順と反逆とを、
   罰しないままにしておこうと
   しているのでしょうか。


答え
 いいえ、決してそうではありません。
   神は、
   わたしたちの生まれながらの性質も、
   自分で犯した罪をも、
   非常に怒っています。
   そして、
   ご自分の公平な裁きによって、
   この世でも、来るべき世でも、
   これらの罪を罰します。
   それは、
   「この律法の書に書かれているすべてのことを
    守り行わない者は、呪われる。」
   と書かれているからです。


問い11
 しかし、神は、あわれみ深いのでは
   ないでしょうか。


答え

 神は、
  もちろん、あわれみ深いのですが、
  また公平でも、あります。
  ですから、
  神の義は、
  神の最高の尊厳をおかした罪に対して、
  永遠の罰という最高の刑罰で
  体とたましいを罰するのです。


問い12
 神の義しい審判によって、
  わたしたちは
  この世と永遠の刑罰に
  あたいする者であります。
  どのようにして、
  この刑罰をまぬかれて、
  ふたたび神の恵みを得ることが
  できるのでしょうか。


答え

 神は、
  ご自分の義が満たされることを
  欲しています。
  そのため、わたしたちは
  自分自身によってか、
  他のものによって、
  完全な償いをしなければなりません。


問い13
 それでは、わたしたちは
  自分自身を償うことが
  できるのでしょうか。


答え
 いいえ、けっしてできません。
  むしろ、反対に、
  わたしたちは自分の負い目を
  日々増大させているのです。


問い14
 すると、天と地にいるいずれかの
  単に被造物であるものが
  わたしたちのために負い目を償うことが
  できるのでしょうか。


答え
 いいえ、できません。
  なぜなら、
  なによりも神は、
  人間が犯した罪のことで
  他の被造物を罰しようとはしないからです。
  さらに、単に被造物であるものは、
  罪に対する神の永遠の怒りの重荷を
  負うことができないし、
  他の人々を救うこともできないからです。


問い15

 では、わたしたちは
  どのような仲保者、そして
  どのようなあがない主を、
  求めなければならないのでしょうか。


答え
 それは、
  真の人間で、罪のないものであり、
  しかも、すべての被造物よりも力強いもの、
  すなわち、同時に、真の神である者です。


問い16
 なぜ、仲保者は、
  真の人間で、罪のない者で
  なければならないのでしょうか。


答え
 神の義は、
  罪を犯した人間が
  罪を償うべきであると、
  要求しているからです。
  けれども、みずからが罪人である人間が、
  他者のために
  償いをすることはできないのです。


問い17
 なぜ仲保者は、
  同時に、真の神でなければ
  ならないのでしょうか。


答え
 彼は、ご自分の神性の力によって
  神の怒りの重荷を
  人間として負い、
  また、わたしたちのために、義と生命を獲得し、
  わたしたちを義と生命へ
  回復するからです。


問い18
 では、真の神であり、
  同時に、真の人間で、
  罪のない人間である
  この仲保者とは、
  だれのことでしょうか。


答え
 わたしたちの主イエス・キリストのことです。
  彼は、
  完全なあがないと義のために
  わたしたちに与えられています。