故フランシスコ教皇への批判まとめ

故フランシスコ教皇について、批判する人がいるということを聞いたので、どのような批判があるのか調べました。

 

1. はじめに:批判の背景

  • 2013年、フランシスコはラテンアメリカ出身初の教皇として選出され、謙遜さと「周縁」への関心で注目された。

  • しかしその司牧重視の姿勢は、保守派の間で「教義からの逸脱」と見なされ、深い反発を呼んだ。

  • 彼の教皇職は、長年潜在していた神学的・制度的緊張(第二バチカン公会議の評価、中央集権vs地方分権現代社会との関係など)を顕在化させる「触媒」となった。


2. 教義・神学に関する批判

『愛の喜び』(Amoris Laetitia)

  • 離婚・再婚者への聖体拝領許可の可能性を示唆する脚注が、保守派から「異端的」と非難された。

  • 保守派:「教義が曖昧」「結婚の不可解性を損なう」

  • 支持派:「慈悲と識別を重視」「イエスの本来の意向への回帰」

ドゥビアと教義論争

  • 4人の枢機卿が提出した質問(dubia)に教皇が明確に答えなかったことで、混乱と批判を招いた。

教義的スタイルの違い


3. 聖職者による性的虐待問題への対応

  • 教皇の言動と実際の対応のギャップが批判される。

  • 例:マカリック事件では「知っていながら庇った」との告発(ビガノ大司教)。

  • 被害者支援団体:改革の進捗遅れ、委員会の実効性不足を批判。

  • 教皇の謝罪や改革(秘密解除、祈りの日の制定など)はあるが、「信頼性ギャップ」が継続。


4. 社会的立場に関する批判

LGBTQ+への姿勢

  • 同性愛者に対する司牧的姿勢が期待と反発を同時に呼ぶ。

  • 『Fiducia Supplicans』では非典礼的な祝福を容認 → 保守派・アフリカ諸国で反発。

経済・資本主義批判

  • 「排除の経済」「資本主義批判」が左派的とみなされ、一部政治家や保守派から反発。

環境問題への関与(『ラウダート・シ』)

  • 気候変動を道徳問題として強調 → 環境派に称賛されるが、保守派には政治的と批判される。


5. 教会統治と制度改革に関する批判

ローマ教皇庁改革(Praedicate Evangelium)

  • 官僚制の簡素化と宣教重視、信徒・女性登用が目標 → 内部からの抵抗と遅さへの批判。

財政改革とスキャンダル

  • 不正追及・裁判(ロンドン不動産事件)にもかかわらず、任命責任や改革の限界が批判される。


6. 主な批判者たち

批判者 主な批判内容
レイモンド・バー枢機卿 教義の曖昧さ、『愛の喜び』への反発
カルロ・マリア・ビガノ大司教 教皇の正当性否定、虐待隠蔽の告発(破門)
ゲルハルト・ミュラー枢機卿 教義的混乱への懸念
ヨゼフ・ゼン枢機卿 中国との妥協に反発
被害者支援団体 虐待対応の不十分さ、構造改革の遅れ
政治家(例:サルヴィーニ、MTグリーン) 移民、社会主義的傾向、陰謀論的批判

7. バチカン教皇の対応

  • 明確な対応:破門(ビガノ)、改革実施、謝罪

  • 沈黙・間接対応:Dubiaには無回答、改革により対応

  • 限られた対話:対話を試みた例は少ない


8. 結論:批判の本質と影響

  • 批判は「単なる反発」ではなく、教会の将来像・教義・現代との関わりを巡る根本的な論争。

  • 繰り返されるテーマ:

    • 教義的厳格さ vs 司牧的柔軟性

    • 教皇の統治スタイルと説明責任

    • 教会の「現代性」との向き合い方

  • フランシスコ教皇は大衆的支持を保ちつつも、内部の分極化と継続的な批判に直面し続けてきた。