先週、岩波ホールで観た「光のノスタルジア」
監督はパトリシオ・グスマン
チリ・アタカマ砂漠。標高が高く空気も乾燥していて、天文観測拠点として世界中から天文学者たちが集まるところ。一方、ピノチェト独裁政権下で政治犯として捕らわれた人々の遺体が埋まっている場所でもある。
生命の起源を求めて天文学者たちが遠い銀河を探索するかたわらで、行方不明になった肉親の遺骨を捜して、砂漠を掘り返す女性たちが今もいる。
そのドキュメンタリー映画を観て、広大な死の砂漠の様が、脳裏に焼きついていたのだけれど、今年の3月に、そのアタカマ砂漠に豪雨が降り、冬眠していた種がいっせいに芽吹いて美しい花を咲かせたという記事をネットで読んで、不思議な思いになった。
人間の罪と悲しみに満ちた、絶望の砂漠に、死の砂漠に、
何の希望もないと思われた、茶色の土の上に、
すでに命の種は宿っていて、神が降らせて下さる水によって、その命は芽吹いたのだなと。
復活の希望を思ったのです。